HYBRID W-ZERO3使ってます。
HYBRID W-ZERO3、以前の書き込みで「自分好みのガラケーもどきスマートフォン」だと持ち上げておきながら、(通話・パケット料の高い)専用料金プランでないと使えないと知って、発売後もしばらく二の足を踏んでました。
しかし、ウィルコムが会社更生法を申請したことで、いつまでも今の電話番号を使っていられない・メインの電話番号を徐々に携帯の方に移行しなくてはと考え始めると、基本料の安いプランGが俄然魅力的に見えてきて、2月半ばに購入。最近ではすっかり手になじんでいます。

と思ってたら、HYBRID W-ZERO3販売終了の報せ。
http://another.willcomnews.com/?eid=1026650

ANOTHER WILLCOM NEWSのコメント欄にはこんな書き込みも。
>HYBRID W-ZERO3は販売・開発元はシャープですが、製造は中国の中興通迅(ZTE)です。
>(中略)販売終了というより、WILLCOM破綻騒動での、製造打ち切りが正しいかもしれません。
同時にZTE製のCORE 3G向け「HX003ZT」も販売終了らしいので、ありそうな話ではあります。

また、Windows Phoneも「7」からは全くの別シリーズになるようで、それを受けてWindows Mobile版Firefoxの開発も保留となるなど、Windows Mobile 6.5自体がメーカー・開発者からレガシー認定を突きつけられた格好です。

ということで早くも終わった感満載のHYBRID W-ZERO3ですが、放置中のEBtシェルへは相変わらず「HYBRID W-ZERO3」がらみの検索で飛んでこられる方が多く、ヤフオクなどで今後の入手を検討中の方もおられると思いますので、HYBRID W-ZERO3が実際どんな感じか・現在どんな構成で使っているか、自分メモも兼ねて報告しておきます。



>>外観
以前のWILLCOM 03と比べて、見かけ上のサイズはそう変わらないのに、手に持ってみると一回り大きくなった印象を受けます。
WILLCOM 03は横幅がわずかに狭く、握り込んだとき手のひらにスッポリ収まりましたが、HYBRID W-ZERO3だと端がちょっとつかえる感じです。



>>WillcomUI
これはTodayプラグイン扱いですが、プラグイン選択画面でWillcomUIにチェックを入れると他のプラグインは無視され、Today画面はWillcomUIに完全に置き換わります。
また、WillcomUI画面から呼び出されるアプリとしてオリジナルのメールビューア・電話帳・着信/発信履歴・W+info・メニューランチャ・設定・マルチタスク管理がセットになっており、またデザインテイストも統一されています。
どれも標準のものより使い易く、色気のない標準Todayやアプリと比べて外観・機能ともになかなか気が利いていますが、なにしろ重い。WillcomUIの起動にざっくり20秒くらいかかりますし、方向キーでの項目選択もいちいち一拍おく感じのレスポンスで、ちょっと常用する気になれません。カスタマイズ性も低いので、サクッとOFF。

ただ標準Today画面だと、外観が古臭いだけでなく、WILLCOM 03までのようにライトメール着信(留守録通知など)をToday画面で確認したり、方向キーで着信/発信履歴を呼び出したりできなくなってしまいます。さらに、WillcomUIオリジナルアプリのほとんどは、単体では動作しません(動作するのはメールビューアのみ)。オリジナル電話帳が使えないのは惜しい…

こうしてみると、素のままのWindows Mobileスマートフォンがいかに素っ気なく、使いにくいか思い知らされます。あんなのが電話機として流通しているのが不思議なくらい。そりゃiPhoneとは勝負になりませんわ。
今回のWillcomUIは使えなかったけど、Windows Mobileに手を入れてW-ZERO3シリーズを電話機として成立させてきたウィルコムはけっこう偉大だった…



>>Today画面
標準Todayはこんな感じで使っています。



ゴチャゴチャしていますが、要はよく使うアイコンを登録したランチャープラグイン「bLaunch」が指の届きやすい位置まで下がってくるように、穴埋め的にあれこれのプラグインをアクティブにしています。

ただ、「W+Radioプレーヤー」と「A2DP Toggle」は意外とイイ。
車の中では、Bluetoothヘッドセットをアナログラインケーブルでカーステレオに繋げて簡易ハンズフリー環境を作っているので、ヘッドセットをToday画面からオンオフできるA2DP Toggleが便利。
それからW+Radioプレーヤーをカーラジオ替わりにしたり、母艦MacのiTunesから吐き出したプレイリストを「TCPMP」で再生したりしています。

「bLaunch」
http://soft.wince.ne.jp/soft/Detail/bLaunch/PID4368/

「A2DP Toggle」
http://teksoftco.com/forum/viewtopic.php?t=1885

「TCPMP」
http://blogs.shintak.info/articles/TCPMP.aspx

ちなみに、iTunesからのプレイリスト吐き出しには下のAppleScriptアプレットを使っています。よろしければどうぞ。
http://webspace-kk.sakura.ne.jp/myfolder/cgi-bin/ebtshell/ebtshell.cgi?page=/2010/04/16225342000
アプレットが吐き出すm3u形式のプレイリストファイル(といっても実態はファイルパスを抜き書きしただけのテキストファイル)はWindows Media Playerでは読み込めないので、音楽再生には「TCPMP」を使っています。


左右のメニューキーには、フリーウェアの「TMEdit」を使って「DodeCale(動作の軽いカレンダー)」とウィルコムオリジナルのメールビューアを割り当てています。メールビューアは、重いけど絵文字入りメールを読むには必須(ごりぽんさんの携帯絵文字セットを入れればPOutlookでも表示はされます)。ファイルパスは「¥Program Files¥WillcomUI¥MEmail.exe」です。

「TMEdit」
http://www.geocities.jp/wzero3_soft/tme.html

「DodeCale」
http://gen-soft.sakura.ne.jp/dodecale_about.html

携帯絵文字セット CABインストーラセット
http://www.zob.jp/~goripon/wince/



>>シンクロ環境
僕はMacユーザーなので、母艦側ではActiveSyncの代わりに「SyncMate」というアプリを使っています。
http://mac.eltima.com/jp/sync-mac.html

主にファイル同期機能によるバックアップ目的ですが、その応用でバックアップフォルダに上のスクリプトでiTunesプレイリストを吐き出すことでプレイリストのシンクロも行っています。(SyncMateそのものにもiTunesプレイリスト流し込み機能がありますが、曲順が反映されません)

でも、わざわざスクリプトを書いたりしなくても、iPhoneなら母艦のiTunesとより高度な連携が普通にできるんですよね…
っていうか、いまどき「母艦」ってのも古臭いし。


EBtシェル作成のきっかけともなったtnohoさんの「EBtWM」のデータももちろん同期しています。
といっても、実際にはEBtWMで入力することはなく、ほぼMac→W−ZERO3の一方通行になっています。



>>ハードキー
ハードキーの割り当てをガシガシカスタマイズするつもりは今回はなかったんですが……Xcrawl左上のメールキーには納得できない。
押すとWindows Mobile標準の「受信トレイ」が立ち上がるのですが、なんであんな仕様にしちゃったんでしょう。ただでさえハードキーが少ないのに、Today画面からでも呼び出せる受信トレイに割り当てるなんてもったいない。
しかも、アップデートでウィルコムオリジナルのメールビューアが追加されても、キーの割り当ては変更なし。

ということで、フリーウェアの「MultiKeyHook」と「SortInchKey」を導入してキー割り当てを変更。

「MultiKeyHook」
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/hou_ming_2/view/20070906/1189012118



「SortInchKey」
http://d.hatena.ne.jp/xianon/searchdiary?word=*[SortInchKey]



さらに、
http://ufcpp.spaces.live.com/blog/cns!5C622397E11C979D!755.entry
上のサイトで元のキー割り当てを再現したSortInchKey用の定義ファイルをいただき、問題のメールキーだけWindowsキーに変更しました。
Windows Mobile 6.5のWindowsキーは、iPhone風アイコンランチャーとなったプログラムメニューを呼び出せるので、数少ないキーへの割り当てとしては無難なところ。
プログラムメニューのアイコンは要するに「¥Windows¥スタートメニュー¥プログラム」フォルダの中身なので、使わないアイコンを整理したり、新しいフォルダを作って階層化することも簡単。
ただ、アイコン表示順のカスタマイズは面倒ですね。選択したアイコンを先頭か最後尾に押しやることしかできない。



>>メール仕様
メールボックスと同期して未読メールだけをDLし、メールボックスから削除されたメールはローカルからも削除する仕様になっています(そのため、WILLCOMメールは30日間メールボックスに残る仕様になっている)。
そういえば、もともとWindows Mobileの受信トレイはそういう仕様だったような。

結構ブーイングがあったようですが、僕は全てのメールをGmailに転送して一元管理してるので、ローカルに無制限にメールが溜まらないこの形式はむしろ歓迎です。

たぶんウィルコム側も(Windows Liveを使った)そういう使い方を想定していたんでしょうが、ちょっと説明不足でしたね。
で、ブーイングが起きてからあわてて「メールのローカルへの保存方法」をメール告知する始末。理系が多いといわれるウィルコムらしいエピソードで微笑ましいですね。会社のほうは微笑ましい状態ではありませんが…

ともあれ、クラウド時代のメーラーのあり方はこれでいいんじゃないでしょうか。



>>バッテリー・充電
カタログスペック上でも3Gオンだと連続待受時間が半分(400→200時間)になるということで、3Gはオフにして使っています。
その場合バッテリーの保ちは、スペック上も体感的にもWILLCOM 03と同じくらいですね。

給電・シンク用のUSBケーブルは、電力の制限からか使えないものがあるようです。手持ちのマウスやテンキーボードに付属していたものは、給電だけでなくシンクロもできませんでした。
ただ充電に限れば、WILLCOM 03のUSB ACアダプタが使えたので、WILLCOM 03からの乗り換え組は充電で困ることはあまりないと思います。
もちろん、充電とシンクでケーブルを共用できない相変わらずの仕様は不便極まりないですけどね…



>>通信速度
これは、データをご覧いただくのが一番だと思います。
http://netspeed.studio-radish.com/cgi-bin/netspeed/openresult.cgi?topic=575708&searchdata=263808,0,0,0,0,0,0,0,0,,,&graphmax=1500000

測定にはRadish Networkspeed Testingのサイトを利用しました。
WiFi Spotでルータ化し、WiFi接続の場合とBluetooth PAN接続の場合に分けて、PCのブラウザで測定しました。
ただし結果から見て、WiFi共有でもBluetooth PAN共有でも、はっきりした速度差はなさそうに思えます。

>PHS回線をWiFi共有:下り100.4 kbps 上り82.90 kbps
>PHS回線をBTPAN共有:下り107.2 kbps 上り59.53 kbps

測定場所は広島県の自宅。山の上の団地ですが、家を出てちょっと山の方へ歩くとPHSが圏外になるような場所で、実測100 kbps前後出るとは正直思ってませんでした。
とはいえ、理論値408 kbpsの黒耳(W-OAM type G)ならもっと出そうなもの。自宅近くの基地局はtype G対応ではないのでしょう。

使った感じとしては、これまでのW-SIMと比べてダイアルアップ時のネゴシェーションが早く快適で、通信速度もネットラジオ程度なら充分。
ただし、モバイル版YouTubeをDLしての動画再生はまるで話にならないレベルでした。


>付属3G SIMの回線をWiFi共有:下り1.161 Mbps 上り366.5 kbps
>付属3G SIMの回線をBTPAN共有:下り1.370 Mbps 上り367.4 kbps

さすがです。単体利用でもPC接続でも全くストレスなく使えるでしょう。
バッテリー喰いでパケット単価が高いので、自分としては使う気はないのですが。持っとくだけなら維持費ゼロだし。


参考として、HYBRID W-ZERO3内蔵の3G回線とは別にもともと契約していたCORE 3Gの測定結果も載せておきます。

>CORE 3G回線をWiFi共有:下り212.8 kbps 上り365.6 kbps

CORE 3GのSIMは、ヤフオクで入手したモバイルWiFiルータ「MiFi」に差して、ドライブ中の車の中でPC用回線として使っているものです。
速度が遅く見えますが、実際これでWebブラウズ含めストレスなく使っています。
HYBRID W-ZERO3付属3G回線との速度差は、PRINの速度規制のためなんでしょうか。

ちなみに、HYBRID W-ZERO3付属の3G SIMとCORE 3GのSIMではダイアルアップの接続先が違い、SIMと接続先の組み合わせが入れ替わると接続できません。

HYBRID W-ZERO3付属の3G SIM → CLUB AIR-EDGE 3G(d.willcomcore.jp UN・PW:clubh)
WILLCOM CORE 3GのSIM → PRIN(a.willcomcore.jp UN・PW:wcm)



>>文字入力
Advanced W-ZERO3[es]のときは小笠原博之さんのフリーウェア「ctrlswapmini」でポケベル打ちをしてました。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA004474/wince/soft3.html#ctrlswapmini
テンキーだけで、文字種切り替えなしにかな/英数記号を打ち分けられるサイコーの環境でした。これに慣れると、ケータイで標準的なマルチタップ方式には戻れません。

WILLCOM 03ではctrlswapminiが効かないものの、同じく小笠原博之さんの「TouchkeySIP」でiPhone風フリック入力を使ってました。

「TouchkeySIP」
http://hp.vector.co.jp/authors/VA004474/wince/soft5.html

iPhone風フリック入力スクリプト「gesture10key」
http://blog.livedoor.jp/shimodai/archives/50945481.html

フチなし液晶と大きめのスクリーンキーボードは相性がよく、画面を回転させてスライドキーボードを呼び出す必要がないためやはり快適でした。

HYBRID W-ZERO3は、テンキーとフチなし液晶の両方を備えています。ctrlswapminiも、liteの方なら使えます。
…で、併用しようとして初めて気づきましたが、ctrlswapmini liteを有効にしておくと、TouchkeySIPのテンキーパネルで普通に数字入力ができなくなってしまいます。よく考えれば当然ですが、この2つ、併用できませんね。
結局、ctrlswapmini liteを入れることはあきらめ、テンキーもなるべく使わずにTouchkeySIPを使ってます。

ケータイ書院の文字変換には何の不満もありません。



>>画面縦横切り替え
加速度センサーが内蔵され、画面のタテヨコが自動で切り替わりますが…
タテスライドのこの機種では画面をヨコにする必要に乏しく、自動切り替えはオフに。

ただ、ヨコ位置で撮った写真がちゃんとヨコ向きで保存されるのはナイス。
あ、ただし動画撮影はヨコ固定みたいです。



>>カメラ性能
WILLCOM 03までのカメラはくすんだような発色で、デジカメ替わりになるレベルではありませんでした。
HYBRID W-ZERO3のカメラは、ハイライトこそ白トビしやすいものの発色は自然です。画素数が大幅アップしたこともあり、ドライブにデジカメを持っていくのを忘れて後悔する、ということはなくなりました。

下の写真は、実際にHYBRID W-ZERO3のカメラで撮ったものです。




ただ、写真にジオタグは入らない模様。GPS内蔵ということでいちばん期待してた部分なんですが。



>>音声通話
買ったばかりの頃、携帯電話からの着信が1コールで途切れたり、電話に出た途端に切れたりすることが相次ぎ、電話機としての使い物にならなさに頭を抱えました。

↑これについては、キーロック中の着信時に起こること・ロック画面をクラシック表示に変更すれば回避できることが分かっています。
最近(HYBRID W-ZERO3アップデート後?)はそこまでのことはなくなりましたが、通話中に何秒か無音状態になるという現象が(今までのW-SIMにも時々あったものの)この機種になってより酷くなったように感じます。
ジャケットのせいか黒耳のせいか分かりませんが、音声電話としての品質は従来とくらべて少なくとも上がってはいない。
もちろん音質は非常にイイですが、通話品質とは音質だけじゃないでしょ。

ま、音声通話の方はこれから携帯電話に軸足を移していくからいいんですけどね。


最後に、フリーウェアを作って提供してくださった作者のみなさま、どうもありがとうございます。重宝してます!

Posted : 2010/04/16 23:16:47

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