2011年という年は、東日本大震災を抜きにしても、政治と経済の相克があちこちで表面化したという意味でエポックメイキングな年でした。
政治の都合と経済の都合が噛み合わずぶつかる現象。
ギリシャやイタリアでは、経済危機に対して政治が決断できず、政治家が追い出されてエコノミストがトップに就きました。
アラブの春では、グローバル経済の所産であるSNSが独裁政治打倒を後押ししました。
オキュパイ運動は、グローバル企業が高収益を上げることが必ずしも政治的にプラスでないことを改めて示しました。
いわば、国家という枠組みを超えて行われる経済活動が、世界のあちこちで国家という枠組みを危機にさらしたのが2011年。
考えてみれば国家の枠組みを守る政治と国家の枠を超える経済活動が本来相容れるはずもなく、政治と経済がともに経済成長を目標として歩調を合わせてこれたここ数年の状況、いわば経済優位の状況が特殊だっただけかもしれません。
2012年は多くの国でリーダーが入れ替わる年であり、2011年のトレンドを受けてその流れを確固たるものにする年になるでしょう。
あまり楽しくない想像ですがおそらく、ナショナリズムの風潮・政治優位への回帰といった現象が世界的に起こってきそうに思えます。
なにしろ、日本においても2011年の「今年の漢字」は「絆」。
それはおおむね、「日本人としての一体感」「目に見える仲間との連帯感」「自分の属する集団への帰属感」として受け止められていると思えます。
国外に目を向ければ、中国の領空/領海侵犯・韓国との軋轢・金正日死去と、キナ臭さでいっぱい。あげく「守ってくれる存在」としての自衛隊が若い女性の間で憧れの的となるにいたっては…「絆」はやはりナショナリズムのキーワードと捉えざるを得ない。
Posted : 2011/12/31 23:52:47
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