ケータイキャリアは今や「土管屋」に
これは、CNETに掲載されたクロサカタツヤ氏のコラムです。

ジョブズ後のアップルを飲み込む “スマートフォンの大衆化”というレッドオーシャン

ここで提示される問題意識は大きく3つ。

●これからスマートフォンユーザーとして参入してくるのは自己解決意識の低いユーザーであり、iPhoneブームを支えたイノベーター層とは異質
●スマートフォンのスペック・サービス等は通信キャリアのコントロール外であり、通信帯域の逼迫が現時点でもすでに問題化している
●元々ニッチ商品だったスマートフォンが主流となった世界は、どんなメーカー・キャリアにとっても未体験

ジョブス引退後のAppleが直面するであろう問題を語った内容ながら、その問題はAndroidその他の陣営やキャリアも含め全てのスマートフォン供給者が共通して突き当たるであろうと語られています。


このところ、ケータイ各キャリアによる通信速度制限の復活やWiFiオフロードといった、スマートフォンによって激増した通信量を減らすための仕掛けに関する話題が次々打ち出されています。
過去においても一部ヘビーユーザーへの通信速度規制はありましたが、それは端末仕様やそこで展開されるサービス内容がキャリア主導でコントロールされてきた時代の話です。対して、スマートフォンによるトラフィック増にはキャリアのコントロールは効いておらず、しかも増加量がケタ違いです。
そしてそのユーザー層も、「一部ヘビーユーザー ≒ 技術への理解があるイノベーター層」から「一般ユーザー ≒ 無知ゆえに不寛容なマジョリティ層」へと移行しており、よりコントロールの効きにくい状況に今後はなっていくでしょうから、キャリアの今後の課題は通信トラフィック総量規制しつつのネットワーク増強、となるのではないでしょうか。

iPhone・Android世代のスマートフォンは、通信インフラにかける負荷という点でそれ以前の電子手帳的な製品とは別物です。
My DoCoMoで自分の使用パケット量を振り返ると、Windows Phone 6.5のサムスンSC-01BとAndroid端末であるシャープ LYNX 3D SH-03Cとでは、冗談でも誇張でもなく2ケタ、ヘタすると3ケタの差があります。
(ウィルコム時代も含め、旧Windows Phoneでの月平均パケット数は2〜3万程度・少ない月で1万未満、対してAndroidでは5〜6百万)

激増した通信量を抑えるためユーザーやプラットフォーマーに対して抵抗勢力として振舞わざるを得ない立場に追い込まれたキャリアの姿には、通信やサービス内容への主導権がキャリアからプラットフォーマーに移行してしまった現実が浮かび上がります。
ウィルコムからHYBRID W-ZERO3がリリースされたとき夢想した「全キャリアの土管化」が、皮肉にもウィルコム倒産後の本格的スマホブーム到来によって現実となったわけです。

こうなったら、WiFiやWimax等含めた複数の「土管」をユーザーに意識させずに切り替える通信事業者が現れてくれるといいんですが。日本通信が近いことをやってたと思いますが、個人的にはウィルコムに期待したいところです。

Posted : 2011/09/18 07:59:53

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